『夜の真義を』

いつのまにか夜風に秋の気配が漂ってきましたね。
かき氷を食べぬうちに今年もまた夏が終わりそうです。

さて、『夜の真義を』読みました。
600ページもの大作で、何日も何日もかかってしまいましたが、ひいこらしながら読んだ甲斐がありました。
ものすごくおもしろかったです。


夜の真義を
The Meaning of Night(2006)
マイケル・コックス作
越前敏弥訳
文藝春秋刊(2011)

19世紀半ばのロンドン――行きずりの男を殺した私。
なぜそんなことをしたのか、たっぷりと語られていくのですが、本書はその「私」の告白書という形態を取っています。

窃盗の罪を着せられ、名門校を追われたエドワード(私)は故郷に帰り、無為な日々を送っていた。
小説家だった母親の遺品を整理するうちに、自分が英国屈指の名家デュポート家の跡取り息子ではないかと気づく。

偽名を使い、調べを進めると、かつて自分を陥れた同窓生である詩人フィーバスがその名門貴族タンザー男爵の後継の座に就こうとしていることを知る。

狡猾な宿敵フィーバスを出し抜き、われこそは正当の後継者であると証明しようと、エドワードは画策するのだが――


ああ、あらすじを紹介するのが難しい。

本書には小物から大物まで悪党がごろごろ出てきます。
冒頭でいきなり、練習のために(!)人殺しをやってのける主人公も悪党といえば悪党ですが、読んでいるうちになんとか願望をかなえさせてあげたくなる憎めないタイプ。

フィーバスもいやなやつだけど、いちばんいやなやつはなんといっても男爵ですね。
こんな家、跡取りがいなくてつぶれちゃえばいいんだって気にだんだんなってきますよ。

次回作にも本作の登場人物のその後が描かれているということなので、とても楽しみ。
作者がすでに亡くなっているというのがほんとうに残念です。
三部作を完成させてほしかった。

あ、そうだ。
エドワードの実父はじつはタンザー男爵でもない、第三の人物である可能性を、なぜエドワードをはじめ、作中人物たちは誰も疑わないのか読みながらとても不思議だったのですが、みなさんはどう思ったでしょうか?
(小林さゆり)



夜の真義を
文藝春秋
マイケル・コックス

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この記事へのコメント

高山真由美
2012年04月11日 10:21
すっごいいまさらですが、レスつけてもいいですか?(笑)

わたしもそこはすごく不自然だと思いました。
ああいうかたちで産んだなら不義の子、とまず思うのが自然な気がします。とくにエドワード本人が一足飛びに「自分は男爵の子」という結論に達するところが、えーっ、なんで?! もっと疑おうよ、と(笑)。

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